北海道大学理学部地球惑星科学科:地球惑星科学特別講義 (Special Lecture on Earth, Pla. Sci.)
北海道大学大学院理学院宇宙理学専攻:宇宙理学特別講義Ⅰ (Special Lecture of Cosmosciences 1)
天体の熱進化とレオロジー (Interior evolution and rheology in planetary body)
【最終更新 11:00, Oct. 10, 2023】
担当教員
木村淳(大阪大学大学院 理学研究科宇宙地球科学専攻 助教)髙木聖子(北海道大学大学院 理学研究院地球惑星科学部門 講師)
授業の目標
天体の内部構造やその熱的状態を知る(推定する)手段と,その状態を支配する素過程について理解することが目的です.特に熱力学やエネルギー論にもとづく過程や,天体を構成する物質の性質を学ぶことで,天体の内部熱進化を駆動し構造を作る諸要因を理解し,その効果を定量的に記述する方法を身につけます.本講義のスタンス
天体(惑星・衛星など)の主に内部(の物質や熱の)構造について,物理的な推定法によって大ざっぱにアプローチする方法を示します.天体を支配する様々な現象とそれを駆動する素過程は大変複雑に絡み合っており,正確な推定には複雑な計算を要する場合が多くあります.しかし,はじめから何もかもを取り入れた複雑な理論や数値モデルを構築することには,あまり意味がありません(労は多いくせに,何が分かって何が分からないのかが分からない).むしろ,複雑に絡み合った素過程のうち,どれが重要であるかを見極め,個別に分解して理解を試みることが必要です.そのためには,電卓を叩いてできる程度の比較的単純な物理的見積もりを行うアプローチが,意外と重要です.また,単に式を知っているだけではダメで,現実の現象を相手にしている以上,定量的な感覚が極めて大切です.本講義では,天体の内部やその進化という,直接には手に取れない世界の素性を推定するために必要な方法を,示します.授業日程・計画
場所:北大理学部8号館2階コスモスタジオ- 2講時:本講義の概要説明,太陽系天体の概要:氷天体の世界
- 3講時:天体内部構造論:平均密度と組成比
- 4講時:天体内部構造論:慣性モーメントと内部層構造
- 2講時:天体内部構造論:圧力構造,静水圧平衡,状態方程式
- 3講時:内部熱進化概論:熱源と熱輸送過程(伝導)
- 4講時:内部熱進化概論:熱輸送過程(対流),熱輸送過程(放射)
- 2講時:内部熱進化概論:レオロジー(流動則),粘弾性モデル
- 3講時:氷天体の最新の話題,最終課題提示
講義での諸注意
授業評価
講義への参加態度や講義中の小課題,最終レポートをもとに,総合的に評価します.履修状況を把握するために出席チェックはしますが,漫然と出ていれば単位が取れるわけではないことに留意して下さい.
講義中に質問したり,こちらからの問いかけに積極的に答えるなどの主体的な姿勢には,積極的に加点します.