2007/09/23 - 09/28
日本惑星科学会 2007年秋季講演会
高知県高知市

惑星科学の学会を開く場所としては極めて異例の,高知での開催.それまで四国未踏だった私にとって,初めて四国に渡るいい機会になりました.もちろん,電車好きならではのマニアックな旅程を楽しみます.往路は寝台特急「サンライズ瀬戸」.復路は今年7月にデビューした「N700系のぞみ」です.え?学会?ちゃんと出席しましたが何か?

 そもそも「サンライズ」という列車になぜこだわるかというと,従来の寝台列車のコンセプトを覆す「走るシティホテル」と評されるその高いクオリティを体験したいという思いに尽きます.「最終の飛行機よりも遅く出発し,始発の飛行機よりも速く到着する」という運行時間でビジネスユーザの需要に応え,昨今の“寝台列車 冬の時代”にあって人気路線となったサンライズ.これに乗る千載一遇の機会を逃す手は無いわけです.
 サンライズ瀬戸の設備,基本仕様等々の情報はこちら(ほどちゃんの島)をご参照下さい.私なんかが一見の判断で書くよりよほど有用な情報が満載です.
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人気列車の「サンライズ」は,行き当たりばったりでは取れません.乗車日一ヶ月前の販売開始時刻直後にゲット成功.
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東京駅9番ホームからサンライズ瀬戸は発車.22時に発ち,終点の香川県高松駅には翌朝7時半に到着.
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東京駅9番線は,サンライズのような優等列車のみが使用するホーム.そこにいるだけで優越感があります.
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入線は発車の15分前.JR東海とJR西日本が共同開発した285系電車です.
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サンライズは,それまでブルートレインとして運行していた「瀬戸」に代わり,1998年に寝台電車として誕生.
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夜をイメージしたブルートレインの青に対し,サンライズはベージュと赤の“夜明けカラー”.
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サンライズは基本的に2階建てだが,両端には広めの平屋個室がある.私の部屋はこのカーテンが閉まった部屋.
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私の部屋は一人用個室B寝台「シングル」.ドアは暗証番号式のロック.
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車両の中間部が2階建てになっており,階段で上下に分岐.右の壁にある見取り図を参考に.
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隣の車両は電動車なのでオール1階建てだが,部屋は「シングル」より狭い「ソロ」になっている.
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部屋のベッドに座って外を見るとこんな感じ.東京駅9番線の向こうに東北新幹線八戸行き「はやて」が見える.
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個室内には掛け布団,枕,浴衣,車内案内パンフが.
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部屋はこんな感じ.「シングル」でも平屋個室なので,他の一般的な2階建て部分のシングルよりも天井が高く床面積がやや広い.
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部屋の広さと比較して窓がかなり大きい.カーテン閉めないとホームから丸見えです.
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向かいの部屋はずっと空き部屋でした.
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2階建て部分の階下.なんと,全ての部屋が空き部屋でした.
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同じシングルでも,平屋に比べると若干狭い&天井が低い.
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本当は,色んなタイプの部屋を乗り比べるのが通なんでしょうけどねえ.
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東京駅で買った釜飯弁当をほおばりながら発車.東京発が22時なので,駅弁は売り切れてることも多い.
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枕は高めの硬め.フワフワの羽毛枕が嫌いな私としてはこっちの方が好き.
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これから学会なので寝るべきなんだが寝付けず.これは何駅だったかな.熱海かな.23時20分頃着.
個室の種類について:
 サンライズが備える客室は4種類

A寝台シングルデラックス:
 最高級.専用シャワー室や洗面台,衛星放送モニターなどを装備.

B寝台シングル:
 サンライズで最も数が多くスタンダードな客室(<==今回私が利用).車両内の位置によって3種類に分かれる(後述).

B寝台シングルツイン:
 補助ベッドが付いた「シングル」で,追加料金を払うことで2人用としての利用が可能.

B寝台ソロ:
 「シングル」よりも若干狭く,安い.

B寝台サンライズツイン:
 2人用個室.ちなみにサンライズには2人用のA寝台個室は無い.

普通車・座席指定席 ノビノビ座席 :
 最も低価格.“座席”というよりは区分分けされた“区画”になっている簡易寝台.

乗り心地について:
 いくら車内環境に気を遣った寝台列車とはいえ,レールの上を,しかもカーブや起伏の多い在来線のレールを走るので,それなりの揺れ・騒音は避けられません.もちろん,通勤型電車に比べれば格段に良い乗り心地ですが,ベッドに横になると,座っていた時には気にならなかった揺れがストレートに伝わってきます.これを許容できるかどうかが,寝れるかどうかの分かれ道.私のような神経質な人間は,むしろ乗るべきではないと思います(笑).私の部屋は「車両端部の平屋個室のシングル」.同じシングルでも,他に「階上個室」と「階下個室」があるわけですが,3タイプそれぞれのメリット・デメリットを整理してみると,

平屋シングル:
 メリット:階上・階下シングルよりも床面積が広く,天井が高い.
 デメリット:車両の端部にあるので揺れがやや大きい.また台車の近くにあるので音も大きめ.

階上シングル:
 メリット:高いところに部屋があるので眺めがいい.窓が天井部にまでせり出しており,晴れていればベッドに横になりながら星空が見れる.
 デメリット:高いところに部屋があるので揺れがやや大きい.

階下シングル:
 メリット:低いところにあるので揺れが小さい.平屋や階上室に比べて予約の埋まりが遅い.
 デメリット:低いところにあるので眺めは良くない.

という感じ.ま,どこでも眠れる人には関係ないかもね.

個人的見どころ
 車窓の風景をプライベートな空間の中で自由に楽しめるのが,この手の列車の一番の醍醐味ですが,個人的に特に面白かったのは,真夜中の誰もいない大都市ターミナル駅を見ることができること.終電が終わり,駅としての営業時間が過ぎてから始発が出るまでの間,外部との出入りが無いひっそりとした状態の駅に,静かに列車が滑り込んで行くのが何とも面白い.人っ子一人いない大阪駅なんて,そうそう見れるもんじゃありません.列車は24時半ごろに浜松駅に停車するのを最後に明け方5時過ぎの姫路駅まで,主要駅に停車はしますが客車のドアは開かず,乗降はできません.

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姫路−岡山間にある上郡駅.朝5時半くらいの到着で,数人が降りていきました.さすがに乗る人はいない.
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3号車にはロビーカーが.廊下を挟んで両窓側に計8席あったかな.椅子が簡素すぎてちょっとくつろぎにくい.
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椅子の隣にある自販機.一列全部リアルゴールドってのは,一体どれだけがんばれというのか.
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岡山駅の手前付近で,列車後方を撮影.サンライズは,前7両が高松行きのサンライズ瀬戸,後ろ7両が出雲市行きのサンライズ出雲.岡山までは一緒に走る.
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この日の日の出は6時ちょっと前.いい感じの朝の焼け具合.
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6時過ぎに岡山駅着.後ろ半分の「サンライズ出雲」を切り離し,別行動に移ります.サンライズ瀬戸の終点高松までは,ここから1時間.
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岡山駅を出て,瀬戸大橋の本州側のふもと児島へ.朝日が上がってきました.
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瀬戸内海ハケーン!
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さあもうすぐ待ちに待った瀬戸大橋.
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写真右方の鉄骨の間に,大橋が長く伸びています.
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来た方向を振り返って.
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この上には自動車道,いわゆる瀬戸中央自動車道が走ってます.
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こういう斜め下の景色が見えるのは鉄道橋ならでは.
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いわゆる石油コンビナート.
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橋を渡りきるといよいよ四国.坂出駅.
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こういう写真を平気で撮るあたりが,やはり鉄分高いんでしょうか.
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終点,香川県高松駅に到着.朝の7時半です.
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高松駅は行き止まり構造.愛媛方面行きと徳島方面行きの2方向がありますが,いわゆるスイッチバックのような構造になってます.
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左写真から振り返って改札方向を.左方に映るKioskの左には立ち食い讃岐うどん屋「連絡船うどん」があります.これがまた美味い.朝食にピッタリ.
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ここから高知までは後輩の車に合流,しかしちょっと時間が余ったので,駅を出て高松城跡を見学に.通称 玉藻城の玉藻公園です.
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高松城は瀬戸内海に面した日本初の海城で,堀には海水を引き込んでます.
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透明感が分かるかな?養殖の鯛や牡蠣,貝などがたくさん棲んでます.
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内苑御庭
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向こうに見えるは,披雲閣(御殿).大正時代に立て直されたもの.
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全ての堀に海水を引き込むことで,軍船を直接場内に出入りさせる事が可能でした.
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月見櫓.国の重要文化財です.
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今の高松城には天守がありません.明治時代初頭までは姫路城に匹敵する立派な天守がありましたが,老朽化により取り壊されたとか.
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しかし天守再建の機運がここへ来て高まっており,2010年の着工を目指して動いているそうです.
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玉藻公園の隣にある,高松琴平電気鉄道 琴平線の高松築港駅.見るだけで乗らず.
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高松駅のすぐ隣には高松港.この一体は「サンポート高松」と呼ばれ,何と住所にもなってる.
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小豆島行きのフェリーがちょうど出航.
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長い防波堤の先に見えるは,高松港の灯台「高松港玉藻防波堤灯台」,通称「赤灯台」または「せとしるべ」.行ってみましょう.
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思ったより長い.まだ500mもあるのかよ.
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やっと到着.夜になると,内部照明によって灯台そのものが赤く光るそうです.よく見ると,赤い柱部はレンガじゃなくてガラスなのだ.
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赤灯台からの女木島の眺め.いわゆる鬼ヶ島です.
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灯台から振り返ると,高松駅周辺のサンポートエリア.
坂出から高知までは,後輩の車と合流しての旅.高速道路はあえて使わず,吉野川沿いをゆっくりと南下するルートを選びました.峡谷の風景が見てみたいもので.
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そろそろ後輩と合流する時間なので,坂出に戻ります.岡山行きの快速マリンライナーで.ちなみに手前の車両は2階建てグリーン車.
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普通車の車内.JR四国5000系.高松−坂出間は,通常料金で乗れる快速としては全国的にも珍しい130km/hの高速でかっ飛ばします.
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高松港 赤灯台からの360度パノラマ画像.
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路傍で住宅見学会の宣伝をするカエル.ご苦労なこってす.
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高速道路を使わなかった理由がココ.大歩危(おおぼけ)峡.吉野川の清流を土讃線のトラス形鉄橋が跨ぐという素晴らしい構図.
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この辺は四国山地を横切るいわゆる横谷で,山地の形成よりも谷の成長の方が早い先行谷になってます.
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鉄橋の画と反対側,高知方.川の右に国道32号,左に土讃線.川にはラフティング・カヤック客でにぎわう.
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おっと,土讃線の普通列車.

学会は9/24からの3日間.学会そのものの写真がほとんど無いように思えるのは気のせいです.それだけ写真を撮るヒマもなく集中していたと言うことにして下さい.
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というわけで学会の写真はすっ飛ばして,高知,土佐といえばカツオです.どうですこのテリ.一人で一皿完食.
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宿から,学会会場である高知大学までは,路面電車の土佐電気鉄道で.通称土電(とでん).都電じゃなくて土電.
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昭和30年代に製造された車両がいまだ現役.女性の運転士さんも居ました.ちょっとアニメ調の萌え声系.
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学会の懇親会風景.高知大学の生協にて.土佐宇宙酒の飲み比べはなかなかいい企画でした.
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学会ったって,全ての講演を聴くわけじゃない.空いた時間に桂浜へ.坂本龍馬氏です.
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蒼い海,白い砂浜,緑の松.完璧なトリニティ.
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立ち入り禁止をものともせず,意を決して岩場に歩を進めるねえさん.
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高台の木の中に龍馬像があります.
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学会が終わり,帰路も車で岡山まで.瀬戸大橋の中間地点あたりにある与島P.Aで一休み.
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与島P.A.から本州側にのびる大橋.
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与島P.A.から四国側にのびる大橋.
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岡山から東京までは,今年7月にデビューした新型新幹線N700系で.目玉のひとつは全席禁煙化.数量に一カ所ずつ禁煙ルームがありますが,ここに近い座席は煙が流入して来るという話もあり,要注意.
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出入り口の電光掲示板は,若干大きくなった気が.
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飛行機のエコノミークラスの狭さを知っている人間にとっては,新幹線のシートピッチの広さは天国.また全て窓側席には足元に電源があります.
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車内のパッと見は,あまり変わってません.唯一の変更点は車内の照明.従来の700系は昼光色が明るすぎましたが,電球色になって柔らかくなりました.
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窓枠の上には空調の口があり,開閉できます.地味だけどありがたい.
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デッキ部分.まだ新車の匂いがします.
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窓際の小物置き場は若干狭くなったような・・・
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車内で無線LANを探すと,出るわ出るわすごい数のアクセスポイント.まだ接続サービスは始まってません.