2006年7月9日〜15日
AOGS 2006 Meeting
シンガポール

 AOGS(アジア大洋州地球科学会)は,アジア・大洋州地域における地球科学分野の意見集約や合意形成を行うと共に,当該地域社会に対する情報発信を行うことを意図して2004年に設立された新しい国際学術団体です.対象とする研究分野は固体地球から超高層,惑星科学に至るまで幅広く,アジア・大洋州地域の研究者の連携を強めることを目的とした集会が年1回開催されています.

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左に見えるのが,乗機B747.行ってきます.旅費は燃油チャージ込みで往復8.3万円ほど.
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シンガポール,チャンギ国際空港に到着.外にはヤシの木などが並び,熱帯な雰囲気.
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宿は,学会会場から徒歩10分ちょいにあるStrand Hotel.消費税・サービス料等込みで1泊$100.
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ホテルから,学会会場のある南東方向を.この辺りにある背の高い建物は,ほとんどがホテルか大学.
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ホテルの前, Bras-Basar Road と Bencoolen Streetの交差点.この地域にはチャンギ国際空港から電車(MRT)で約30分.
 シンガポールは熱帯雨林気候なのでもちろん暑く,毎日のようにスコールが降ります.しかし暑いとは言え,海沿いなので常に海風が吹いており,気温ほど暑くは感じません.むしろ東京の淀んだ暑さの方がきついです.
 逆に,屋内は冷房が効きすぎていて物凄く寒いです.買い物をして外に出るとメガネが曇るほど.屋内に長時間居続ける場合は,長袖の上着が必須です.
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シンガポールに着いた日の夜に食べた火鍋.手前が激辛の麻辣スープ,向こうがマイルドなチキンスープ.肉・魚・野菜・キノコなどなどを入れていただく中華風しゃぶしゃぶ.長いフライトと街の熱気で渇ききった喉に流し込むビールも最高です.
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激辛マグマオーシャン.食って死ね.
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焼き色完璧,味バッチリ,の餃子.
 シンガポールについた日,7月9日の夜(7/10未明)は,W杯決勝戦の日.私もTV中継を見たい思いはあったのですが,旅の疲れが先に立ってあっさり就寝.ところが夜の2時過ぎ,眠りを覚ます物凄い大歓声が.何事かと外を見ると,道向かいのフードコートでパブリック・ビューイングをやってる.最初の大歓声は,ジダンがPKを決めた瞬間だったらしいです.
 試合の行方が気になるものの眠気には勝てずにまた眠りにつくも,程無くまた大歓声で起こされる.今度はイタリアがCKから追いついた.おちおち寝てられません.しゃぁない,TVをつけて半寝半起き状態で試合を観戦(一緒にPVを見に降りていく元気は無い).しかしその後試合は動かず,気が付くとまた寝てました.そしてしばらくして再びの騒ぎで起きてみると,ジダンが退場してた.なんだそりゃ.
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学会初日の朝.昨夜の到着時から天気はぐずつき模様.写真は,ラッフルズホテル前からシェントン・ウェイのビル群方面.金融の中心街です.
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学会の会場となったのはシンガポール国際会議場.この施設と,周辺のショッピングモールやビジネスビルなどを含んだ複合施設を,サンテック・シティと呼んでいます.
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学会会場の受付&休憩スペース.
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逆方向の一枚.フリーのコーヒーと紅茶が用意され,参加者はカップ片手に議論を交わします.一番奥に,ポスター発表の展示スペースがあります.
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学会の重要なスポンサーでもある企業・研究所の展示コーナー.こちらはIODPのブース.ネックストラップをゲット.
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初日の夜に開かれた,Welcome Reception.料理を片手に,再会を祝う人,新たな人脈を築く人,我関せずとひたすら食べまくる人,いろいろ.
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スポンサー提供の賞品クジ引き大会.AOGSの総会に参加した人に当選の権利があります.総会サボった私にはありません.
 私のように外惑星系を専門としている研究者は,この学会の「アジア大洋州」という括りの中では少数派です.そのため,自分がこの学会に出る幕は無いかなと思っていたのですが,蓋を開けると欧米からかなり多くの参加があり,私の専門セッションは欧米色の非常に強い,ある意味“まともな”会議になりました.
 「はやぶさ」「ディープ・インパクト」「カッシーニ」や,次期水星・金星・火星・月探査計画に関する討議など,ネタには困らない惑星科学業界の雰囲気を反映してか,はたまた中国・インドが月・火星探査をやりたがっている現状もあってか,惑星科学セッションはまずまず活況だったと思います.
 ただ正直,発表のキャンセルやポスターの貼り逃げが,他の学会に比べて多かったのは残念.
 今回のシンガポール紀行は,天気に恵まれたとは決して言えないものでした.午後にスコールが降るのは仕方ないにしても,朝から曇天か雨の日がほとんど.学会中に太陽を見たのは3日くらいだったでしょうか.現地の人に言わせれば,このような天気は珍しいとのこと.
 個人的には,夜の星空鑑賞を楽しみにしていたのですが,まともに星が見れたことはほとんど無し.見れたのはαケンタウリくらい.上空は晴れていても,地平線近くは必ず雲がかかっています.南十字座が見れなかったのは,行った時期が悪かったのもあるらしいです.
 まぁそれでも,さそり座が高い仰角で見えたり,太陽のある方向が北だったり,南国な雰囲気は味わえました.
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マーライオンを見に行きましょう.学会会場から,金融街シェントン・ウェイに向かいます.
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学会会場とマーライオンの間にある,エスプラネード・シアターズ・オン・ザ・ベイ.劇場やコンサートホールなどが入った文化複合施設らしいです.ドリアンがモデルの外観.
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シアターの向かいにあるエスプラネード・パーク.
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どちらかのドームがシアターで,どちらかがコンサートホール.私はその手の芸術に興味が無いので,良く分かりません.
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マーライオンパーク近くに架かる,アンダーソン橋.右はフラトン・シンガポール・ホテル.役所や郵便局だった歴史を持つ建物を改装した高級ホテル.1泊500$以上らしいです.
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アンダーソン橋からエスプラネード・シアターズ方面を.ドームの向こうが,学会会場です.
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フラトン・ホテルと,金融街シェントン・ウェイのビル群.かの村上ファンドのシンガポール支部もこの辺り?
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マーライオン・パークに到着.マーライオンは1972年の建造.2002年に今の場所に引っ越したそうです.
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アンダーソン橋と直角を成して架かるエスプラネード橋.マーライオンパークから学会会場方面を振り返ると,こう見えます.
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二日酔いなのか,激しくリバースするマーライオン.
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ストロボ焚くと人が写らない,逆だとライオンが写らない.夜間撮影は技術が要ります.
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マーライオンの背後で,控えめにリバースする子マーライオン.
 今回の学会での発表題目は,「Size and compositional constraint of Ganymedean core from the condition of driving a dynamo activity」.木星の衛星にして太陽系最大の衛星であるガニメデの,中心にあるコアの大きさを推定しました,という内容.
 ガニメデは衛星の中で唯一つ固有磁場を持っており,その起源は金属コアでのダイナモ活動にあると考えられています.しかしデータの少ないガニメデでは,ダイナモ活動の詳細はおろかコアの大きさなど内部構造の理解も極めて乏しいのが現状です.例えばコア半径の推定値にはその密度に依存して2倍近い開きがあり,この様な不確定性はコアの熱史に大きな影響を与えます.この大きな不確定性の幅の中で,ガニメデのコアが無条件にダイナモ活動を起こせる熱的状態にあるのかどうかは明らかではありません.そこで,熱史シミュレーションを行うことでダイナモの発生を確かめると共に,逆にダイナモ発生の条件からあるべき内部構造の範囲を推定し,不確定性を狭めてみよう,というのが目的です.
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で,私の発表ポスターです.5日間の会期中,自分のポスターは2日間貼っておけます.そのうち特定の90分間は著者は常にこの前におり,閲覧に来たお客さんに説明をし,質問を受けます.
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vs. Olivier Grasset.
自分の周りが寂しいのは,ポスターを貼る義務を怠っているか,貼り逃げする人がいたため.
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口頭発表の会場は,こんな感じです.
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発表も終わって,タイガービールで一杯.
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ラッフルズ・プラザ内にあるレストラン.ここのチキンライスがかなり美味い.
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この日の夜は,シンガポール動物園のナイトサファリへ.学会会場からはタクシーで約30分.タクシー代は1500円弱.
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日本語トラムに乗って,約40分のジャングル探検.残念ながら写真撮影は禁止です.動物にフラッシュは厳禁ですし,長時間露光で撮影しようにも揺れるトラム内では無理.
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というわけで,休憩所やお土産店周りしか撮れません.
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何のモチーフなのか良く分からん.
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高感度撮影と,フォトレタッチのテクニックを勉強したい.
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そこかしこに,日本製品が見受けられます.ホテルのエレベータはシ●ドラー社製ではありませんでした.
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入国証.麻薬の密売人は死刑!
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北緯一度の夏空.モリモリわき上がる積乱雲.北半球の夏至の時期なので,ここの南中高度は一年で一番低い.でも日射しは弱くはないです.
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学会会場から北東へ,アラブ人街に向かう途中にそびえ立つ,
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近所に西友を発見.だからと言って店内が日本語だらけ,というわけではない.
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アラブ人街.絹や麻で出来た衣服を売る店が多い.中心部と違い,このあたりの屋内は冷房がマイルド.
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奥に入ると突き当たりに見えてくるのが,サルタン・モスク.
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11時から14時の間は礼拝のため観覧できません.16時過ぎもアウトです.
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ショートパンツやミニスカート,キャミソール等,高露出な服装での観覧は不可.観覧を止められていたのは大部分が日本人女性の観光客でした.まったく,デリカシーがない.
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観覧客は,絨毯内は立ち入り禁止.
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地域の教徒たちが決まった時間に集結し,お祈りを捧げます.金曜礼拝はとりわけ大規模.
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モスク入り口から振り返って,先ほど来た通り側を.
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モスク敷地内のベンチでひと休み.
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団地の面白い風景.窓から垂直に物干し竿が伸びて,一種異様.
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シンガポール最後の夜の夕飯は,チキンとローストポークを乗せたご飯+グァバジュース.グァバジュースと言ったのに,なぜかキウィジュースが出てきた.そんなに発音が悪かったか?間違い様がないくらい違う単語だと思うんだがなぁ.
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腹ごなしに,ホテル近くのフォートカニング公園を散歩.
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公園内の巨木.良く分かりませんな.
 シンガポールの玄関であるチャンギ国際空港は,なかなか良くできた空港です.余った時間を暇しないように色々な施設が充実しています.レストランや土産店はもちろん,フリーのインターネットスペースや,XBOXで遊べるコーナー,マッサージ屋や映画を見れるところもあるらしいです.やることもなく街中でダラダラしてるより,ここに来た方が色々と退屈しないです.  帰路の飛行機は結構揺れました.11kmの巡航高度でもかなり雲が広がっていて,度々ベルト着用のサインが出ました.機内サービスを一時停めることも.飛行機嫌いの私としては,ストレスの溜まる数時間.しかしそれでも,ブルネイ近辺の南シナ海と南西諸島付近で,雲間から見えたサンゴ礁のあの蒼さは忘れられません.写真は無いですが.